今いちばん気になっているのは、有機野菜も含め、野菜のミネラル分がどんどん減ってきているという事実です。化学肥料が使われはじめた40年前と比べると、約70%もミネラルが少ないというデータも……。この問題、実は「土」に原因があるのです。
家畜糞尿や草木の堆肥のような有機肥料が主だった頃は、人や作物が土から摂取した養分が再び自然へと還っていくしくみができていました。しかし簡単で効率もよい化学肥料の登場により、堆肥を使う農家は激減。化学肥料だけで作物を育てると、他のミネラルを補えないばかりか、土の養分を蓄える力が弱くなり、雨が降っただけでミネラルが流出。作物もミネラルを持ち出すので、貧弱な耕地が増えてしまったのです。

写真は、レタスとアブラナ科の菜っ葉を混植(作物の間に混ぜて植える)している畑。アブラナ科の植物には、土の中のリン酸などのミネラル分を溶かし、作物が吸収しやすいように変えてくれる働きがある。
〝土づくり3年〟とよく言われますが、土づくりは小さな生態系をつくって自然に合わせる、時間のかかる仕事。ですが、〝いい土壌→元気な作物が育つ→害虫がつきにくい→使う農薬が減る→安全でおいしい作物が手に入る〟、というサイクルを知れば、健全で心地よい暮らしのために何をすべきかが見えてきます。
真のオーガニックライフとは、オーガニック商品を買っただけで満足せず、人やもの、さまざまなつながりによって自分の暮らしが成り立っていることを知り、自然のしくみに沿った価値観を持って暮らすことだと思います。
最初の一歩は身近なことから。プランターでも一坪の畑でも、実際に「土」に触れて体感してみることがいちばん!日々の暮らしから生まれる循環のしくみを、地球全体に広げていきたいですね。
*パーマカルチャー……生態学的に健全で、経済的にも成り立つ永続可能な農業

四井真治(よついしんじ)
山梨県在住。パーマカルチャーデザイナー、土壌管理コンサルタント。
土壌分析・改良のコンサルタントなどを行う「ソイルデザイン」として活動。